芭蕉林通信(ブログ)

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2020年03月23日 今年の春

 梅の花が咲きそして散った後に、桜桃の花が満開となった。桜桃の木は駐車場の陰にあるので、気がついた時はすでに満開を迎えていたのである。その桜桃の花がおおかた落ちてしまった今、庭にはクリスマスローズ、利休梅、ムスカリ、シランが花盛りである。水仙はすでに盛りを過ぎた。買ってきたマリメッコの白い花瓶にさっそくクリスマスローズと利休梅を活ける。ムスカリの青とシランの紫を差し色とする。遠くからはウグイスの鳴き声が聞こえる。

 中学の国語の授業で暗記した詩が自然と思い出された。
時は春
日はあした(朝)
あしたは七時
片岡に露みちて
揚雲雀なのりいで
蝸牛枝に這い
神、そらにしろしめす
すべて世は事も無し  (ブラウニング・上田敏訳)

 コロナウィルスが世界に蔓延し、多くの死者が出ている世のなか。すべて世は事も無しと言える日が来るまでは、不便を我慢し、知恵を出し、必死に乗り切らなければならない。 平和ということがいかに貴重なことであるか、あらためて身にしみる今年の春である。

2020年03月16日 コロナウィルスと黒死病

 「あぶないっー」と叫んで歩行者が見上げた二階から糞尿が投げ落とされる。通りの両側に糞尿が積み重なっている町は中世のパリ。こうした衛生の悪さゆえにペストの大流行につながったのである。ペストに罹った患者は身体が黒ずんで死んでいったので誰もが黒死病として怖がった。この黒死病の流行によりヨーロッパの人口は40%にまで減少した。おかげでそれ以後ヨーロッパの大都市では公共下水道のネットワークが広がることになる。

 さて現代、今イタリアのコロナウィルス感染者が急増していることに驚いている。しかも経済的に豊かな北部諸州、とくに何度も訪問した美しい街ミラノやベネチアが感染拡大の震源地である。イタリアは長寿を誇る村が点在することで知られてきた。ある疫学調査チームはその長寿の原因を「親しい人間関係」とし、坂の上り下りも身体を鍛えていると報告した。そして、その人間関係の濃密さゆえにコロナウィルスの感染が拡大し、高齢者が多いゆえに死亡率に高いと考えるとやるせない思いに襲われる。

 報道はしきりにパンデミックの中心が中国からヨーロッパに代わったと伝えている。一帯一路の感染ルートがヨーロッパにつながり、イタリアやフランス、スペイン、ドイツ、イギリスでは想像を超える勢いで感染者が増えている。中世において黒死病を大きな犠牲を払いながらも乗り越えたヨーロッパが、再び輝かしい英知を発揮し見事にコロナウィルス禍を乗り切ることを心から祈るばかりである。

2020年03月12日 すっかり巣ごもり

 このブログを書き続けているが、WHOによるコロナウィルスの「パンデミック」宣言が出た今、コロナウィルス以外のテーマで書くことがとても困難な感じがする。この問題を避けて書けば能天気と言われるばかりか、周りの人の関心とずれると懸念されるからである。

 だとすれば、大きな痛手を被っている観光産業や外食レストランのように一時休業宣言をすべきかとも思うが、この場を自己表現の機会として、あるいは日記代わりに書いてきた身としては、自然と指がキーボードに向かうのは避けがたい本能であり、いつの間にか生活習慣と化しているのである。

 ということで近況を述べれば、今や生活はすっかり巣ごもり化してしまった。行く所はない、会う人はいない、外食する機会もない。自宅における圧倒的な時間に押しつぶされないように、生活習慣再構築中と言うべきであろう。頼みの綱は家にある運動補助機械とTV、それに読書である。読み残していた本に挑戦できるのが数少ないメリットだ。そしてやっと読み通した「ドクドルジバゴ」には感動した。YouTubeで久しぶりにラーラ役を演じた女優ジュリー・クリースティにも再会したが、まるで天使のように美しかった。

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