芭蕉林通信(ブログ)

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2023年03月13日 一瞬の全国デビュー

 3月1日水曜日7時34分のこと、「NHKニュースおはよう日本」を何気なく見ていると突然見知った顔が映った。記憶を整理している内に、大学の後輩でNHK熊本支局勤務時代に親しく付き合っていたO君であることを思い出した。賃上げ取材班として立派にレポートしているではないか。

 懐かしい気持ちいっぱいでその雄姿を眺めているうちに、O君がつけているネクタイに目が釘付けとなった。それはO君が転勤報告に来た時に、私が餞別の品として渡した「辛子レンコンネクタイ」に間違いないのである。地元ふるさとである熊本の食文化を題材にしてプロデュースしたネクタイは10種類以上、延べ5千本以上売れたがそれも昔の話。ノーネクタイの普及やコロナ感染の拡大によってネクタイ需要も急速に落ち込んだ。

 それなのにO君は在庫処分の安いネクタイをわざわざはめて全国放送に登場してくれたのである。日本中でそのネクタイに気付いた人は私一人であろうが、彼の心の中にしばらく勤務した熊本の思い出が残っていることを感じ何やら嬉しくなった。そして、プロデュースしたネクタイが一瞬であれ全国デビューしたということに一人感激に浸ったのである。自己満足もいい加減にせいとお叱りを受けたとしても。

2023年03月06日 能面と読書

 今はまっている事の一つが能面である。コロナ感染の拡大を機に仕舞と謡の勉強は止めたが、根底に能への関心の火種がくすぶっていたのかも知れない。お面(おもて)は能の舞台でシテ(主人公)が付けるものというぐらいの認識しかなかったが、実際の面を手にしてその魅力に心奪われてしまった。面は物であるだけでなく魂であり生き物なのである。

 試しに部屋に平太、中将、増女の三面を置いてみると、部屋が一気に引き締まり時空を超えた雰囲気になった。そこで思いついたのが、これらの面を見ながらその時代の小説を読んだら面白かろうということである。さっそく高木のぶ子著「業平」を読み始めた。伊勢物語のモデルと目される美男かつ歌人の在原業平の官職が「中将」だ。中将と増女の面をちらちら見ながら「業平」を読んだが、まるでそこに在原業平とその恋人たちがいるかのような気がした。

 趣味というものは深入りするものである。病を抱えた能面士の先生に申し訳ないとは思いながら、新たに小面、慈童、大べしみの三面の制作をお願いした。弟子を総動員して制作してくれるそうだ。これからまたどのような時空が産まれるのか今から楽しみである。

2023年02月28日 掘り出し物

 熊本の春の風物詩である白川河川敷の植木市が始まった。詳しくは知らないが江戸時代から続く長い歴史を誇っているらしい。今年も何かを見つけるというよりも行かなければ春の大事な行事を見逃すといった気持ちで散策がてらに植木市を覗いてみた。定番であるさまざまな種類の花や木の販売に加えて、最近では果肉女子の言葉が出るほど人気のサボテンや高価なメダカを売る店などが出ているのが面白い。

 私がいつも感心するのが盆栽コーナーである。大小の鉢に丹精を込めて育てられたいろいろな木のたたずまいがあたかも小宇宙のように思えるのである。中にはアート的なものもあり、長年盆栽を育ててきた苦労の一端を垣間見る気がする。しかしながら私自身は、盆栽を買っては枯らしてきたトラウマがあり、これまでは新たに購入する気がしなかったことは以前にも書いた気がする。(くちなしの小さい鉢植えは別として)

 ところが今年は掘り出し物の盆栽を見つけて心変わりがした。形が良い上に値段が安い、これならば万が一枯らしても悔いは残らないといった盆栽に出会ったのである。値札の桁が一桁違っているのではないかと店主に聞けば、これは特売価格とのこと。思い切って購入したものの、あまりの重さに自宅で車から降ろすのに一苦労した。この黒松の盆栽は幹が真っ直ぐなために安かったとも思えるのだが、我が家出入りの植木職人にいくらと思うか尋ねてみたところ、一桁高い価格でないかと言ってくれただけで自己満足しているのである。さあ枯らしたら大変だ。

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