芭蕉林通信(ブログ)

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2016年09月20日 鷹の渡り

 俳句仲間から誘われて鷹の渡りを見に行くことになった。早朝7時に熊本駅に集合して、二台の車に分乗して一路天草へ。とここまではいいのだが、肝心の行き先は野鳥の会に所属している友人に先導されるまま。なんと3時間かけて牛深近くまで行ったのである。  牛深に至る少し前で、車は突如細い山道に突入した。鷹の渡りを見るのだから、人里離れた場所に行くのは当然と思いながらも必死に先導車に付いて行った。そして、お目当ての六次郎山山頂に着いて驚いたことに、狭い駐車場は車でいっぱい。しかも本格的な超望遠レンズを持っている人、双眼鏡で谷を見ている人、椅子を出してのんびり座っている人。遠くから鷹の渡りを見に来た人達が大勢集まっているのだ。世の中にはもの好きの人がいっぱいいるんだなあというのが率直な感想だった。

 我々も思いがけずに遠くまで来たのだから目的を果たさない訳にはいかない。すぐさま準備してきた双眼鏡を取り出し鷹探しを始める。ところが見慣れていないためか、なかなか見つけられない。野鳥の会メンバーの歓声を頼りに双眼鏡をその方向に向ける。しかしここでまた問題発生。私の倍率8倍の双眼鏡では、遠くの森や雲の中から湧き出すように出てくる鷹を見つけられないのだ。聞けば双眼鏡は倍率10倍は欲しいと言うことだが今となっては後の祭り。カメラに至っては、持参した200ミリでは到底鮮明な鷹の画像は撮り難く、闇雲に鷹が飛翔する当たりにレンズを向けてシャッターを押すばかり。すっかり気が落ち込んでしまった。  しかし良くしたもので、倍率の低い双眼鏡でも鷹を少しずつ見つける事ができるようになった。鷹の種類は、アカハラダカと言い大きさはハトぐらいと教えてもらったが、あまりにも遠いので大きさが分かる訳もない。ただ、雲井から湧き出るように現れた鷹が100羽を越える集団となり、渡りを始めたのを見た時にはさすがに感動した。

 鷹の渡りは俳句の季語となっている。鳥の渡りの内でも、鷹となるとその雄々しさから人気が高いようだ。その鷹達は日本を出て1万キロの旅をしてインドネシアやボルネオにまで行くという。帰りは中国大陸を北上し朝鮮半島を経て日本にたどり着く。鷹はなんと壮大な旅を敢行しているのか。鷹の渡りを目撃するという素晴らしい体験ができた一日であった。

2016年09月12日 随兵寒合(ずいびょうがんや)

 地域には地域特有の美しい表現がある。地元熊本で言えば、「随兵寒合」がその筆頭ではないか!?因みに、読みは「ずいびょうがんや」であるが、意味が分かりにくいのは地域ならではの歴史や文化が背景にあるのだから仕方がない。さて「随兵寒合」の意味とは、地元に古くから伝わってきた藤崎宮大祭に関するものである。私が子供の頃は通称「ボシタ祭り」と呼んでいたこの祭りは9月半ばに開催されるのが通例だった(今は9月の不定期日)。不思議なことにこの祭りが始まると、朝晩がめっきり秋めいて一挙に涼しくなるのである。因に、随兵とは祭りの先頭を行く甲冑姿の侍の行列のことを指している。

 若い人と時候の挨拶をしていて、「やっと涼しくなりましたね」と言われたので、つい「随兵寒合だものね」と答えたら、全く分かってもらえなかった。言葉は生き物だから、使用されなければ死語となっていく。今日まで地球上で数知れない言語が使われなくなり、忘れられていったことを思う。言葉がなくなるということは固有の文化も同時に失われるということだ。

 地域の特徴ある風景がなくなるように、地域固有の美しい言葉がなくなるのは悲しいことだ。こういう私にしても、東京でしばし生活したおかげで日頃は標準語で話している。これからはできるだけ方言を使い、歴史的文化的な背景のある言葉を若者に伝えていきたい。

2016年09月06日 バンコックの土産話

 久しぶりのタイには夕方4時頃に到着した。すぐにバスでバンコック中心地にあるホテルに向かう。今は雨季ということで空はどんよりし厚い雲で覆われている。最初に受けた洗礼がバンコックの有名な車の渋滞だ。ガイドさんによると、今年になってバンコックが道路の渋滞で世界ワーストワンになっということで先がおもいやられる。そして案の定三日の滞在中、まさに渋滞との戦いに終始することになった。 

いくつか気になった点があった。一つはテロへの不安である。さすがに空港に着いてしばらくは空港周辺をキョロキョロし不審者がいないか気になった。次に軍事政権による国政の安定度である。軍政への移管前に頻繁に起こった、国論を二分するような激しいデモは今や影を潜めている。3番目が国民の尊敬を集める国王の健康状態。すでに国王と王妃は加齢により長期入院中であった。

 バンコックは広い平野が極端なほどの低地のため、2011年の大水害で日本を含む多くの企業が洪水の被害にあっている。今回は水産加工品を全量日本へ輸出している合弁企業を訪問した。驚いたのは、作業員の9割がミャンマーからの出稼ぎ労働者であり、最低日給が300バーツ(日本円換算で約900円強)という点である。現時点では、むしろ中国よりも人件費が割安になっていないかという疑問が起こった。

バスで街を通り抜ける度に見かけたのが多種多様な屋台である。決して清潔とは言い難い屋台が多く、ガイドからは屋台で食べる事を厳に戒められた。ということで、皆で食事をした後は何もすることがなく、ホテルの部屋で時間をつぶした。おかげで滞在中に6枚のスケッチと3句ほどの俳句ができたのはタイに行った甲斐があったというものである。

 今回は団体旅行のために、トム・シンプソン宅や骨董街に行けなかったのは残念だったが、象に初乗りすることができたのは良い思い出となった。  

象使い足裏白き残暑かな

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