芭蕉林通信(ブログ)

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2023年04月05日 松葉づえで入社式

  今年も入社式を開催した。相手は違うものの毎年のことなので挨拶がマンネリ化しないように気を遣う。しかも緊張している新入社員をリラックスさせたい思いがある。もっとも緊張しているのは挨拶をする自分自身だという時もある。

 今年は、世阿弥の「初心忘るべからず」と「たくましく、しなやかに」、また「コツコツが勝つコツ」といった挨拶をした。初心とは素直な気持ち、好奇心、向学心と説明した。何が起こるか分からない世相ゆえに、たくましく且つしなやかに生きてほしいという願いを付け加えた。「コツコツが勝つコツ」とは私の名前の亀に因んで創作したものだ。

 ところで出席した役員の一人が怪我をし松葉づえで入社式に参加していたので、次のような追加ネタを披露した。君たちの行く道はけっして平坦な道ばかりではない、でこぼこ道が待っているかもしれない。そんな時は「転ばぬ策のつえ」である。そして「万が一転んだときは松葉づえ」としゃべったのは良かったが、ユーモアと分かって笑ってくれたの出席者の内わずか一人。あとで他の出席者に聞いたところ、松葉づえをついている本人が目の前にいるので笑えなかったとのこと。慣れないことをするのは難しいと改めて思った。

2023年03月13日 一瞬の全国デビュー

 3月1日水曜日7時34分のこと、「NHKニュースおはよう日本」を何気なく見ていると突然見知った顔が映った。記憶を整理している内に、大学の後輩でNHK熊本支局勤務時代に親しく付き合っていたO君であることを思い出した。賃上げ取材班として立派にレポートしているではないか。

 懐かしい気持ちいっぱいでその雄姿を眺めているうちに、O君がつけているネクタイに目が釘付けとなった。それはO君が転勤報告に来た時に、私が餞別の品として渡した「辛子レンコンネクタイ」に間違いないのである。地元ふるさとである熊本の食文化を題材にしてプロデュースしたネクタイは10種類以上、延べ5千本以上売れたがそれも昔の話。ノーネクタイの普及やコロナ感染の拡大によってネクタイ需要も急速に落ち込んだ。

 それなのにO君は在庫処分の安いネクタイをわざわざはめて全国放送に登場してくれたのである。日本中でそのネクタイに気付いた人は私一人であろうが、彼の心の中にしばらく勤務した熊本の思い出が残っていることを感じ何やら嬉しくなった。そして、プロデュースしたネクタイが一瞬であれ全国デビューしたということに一人感激に浸ったのである。自己満足もいい加減にせいとお叱りを受けたとしても。

2023年03月06日 能面と読書

 今はまっている事の一つが能面である。コロナ感染の拡大を機に仕舞と謡の勉強は止めたが、根底に能への関心の火種がくすぶっていたのかも知れない。お面(おもて)は能の舞台でシテ(主人公)が付けるものというぐらいの認識しかなかったが、実際の面を手にしてその魅力に心奪われてしまった。面は物であるだけでなく魂であり生き物なのである。

 試しに部屋に平太、中将、増女の三面を置いてみると、部屋が一気に引き締まり時空を超えた雰囲気になった。そこで思いついたのが、これらの面を見ながらその時代の小説を読んだら面白かろうということである。さっそく高木のぶ子著「業平」を読み始めた。伊勢物語のモデルと目される美男かつ歌人の在原業平の官職が「中将」だ。中将と増女の面をちらちら見ながら「業平」を読んだが、まるでそこに在原業平とその恋人たちがいるかのような気がした。

 趣味というものは深入りするものである。病を抱えた能面士の先生に申し訳ないとは思いながら、新たに小面、慈童、大べしみの三面の制作をお願いした。弟子を総動員して制作してくれるそうだ。これからまたどのような時空が産まれるのか今から楽しみである。

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